平成15年12月12日


香港のFar Eastern Economic REVIEW誌が「日本を直せる人々(The People Who Can Fix Japan)」として各界の一匹狼10人を選出する特集記事を組み、その中のひとりに数理技研社長の東條巌が選出されました。
本文訳(翻訳文責:数理技研)は以下の通りです。
また、この特集をもとにした記事が産経新聞に掲載されました。
若き頃からの異端児、 東條は通信の巨人に挑み、通信業界を揺さぶった。
 東條巌氏は2001年4月、十字架に掛かったように感じたという。銀行が東京めたりっく通信への融資を拒否。東京めたりっくとは日本で高速インターネットを構築するため2年前に彼が手がけた会社である。東京めたりっく通信は、彼自身の出資金1億円(86万ドル)と、日本の濁った通信産業を揺さぶるという彼の夢とともに、影をひそめていった。「ばかげている。40億円のビジネスが消えたんだ。」と彼は回顧する。
 しかし、東條59歳はすぐに活力を取り戻した。彼の投資と新たなチャレンジを保証する”東京めたりっく通信の買い手”を見つけたのだ。それはまさに、富士通やNECといった大企業によって占有されている日本の産業・情報技術の分野では、稀有な企業家としての研ぎ澄まされた才能であった。

  現在、東條は、彼が24年前に設立したソフトウェア会社・数理技研の舵取りに戻っている。東條は、有望で新たな分野(頭を抱えている日本の銀行に向けた信用リスク計算ソフトの販売)に、狙いを定めている。日本のビジネス環境は、今日では彼のようなベンチャー企業にとって親切なものになってはいるが、東條は次のように話す。「ビジネスの生態系が今もなお、根底からの企業の成長と発展を阻害している」

 東條の異端児道は30年ほど前に始まった。東京大学大学院を退学し、1975年にソフトウェア・プログラマーになる前まで様々な職業を経験した。4年後に数理技研を設立。創業当初は大企業の下請けであったが、一方で、超複雑な計算―衛星軌道の計算など―を必要とするソフトウェアやサービスに特化することで独自の強いビジネスを作り上げていた。1996年、日本で最初のインターネット・サービス・プロバイダーの1つの設立に一役買っている。

 数年後、彼は、ADSL(非対称的デジタル直通ライン)と呼ばれる技術に興味を持つことになる。このAADSLは、後に普通の電話線をはるかに凌ぐ高速インターネットアクセスを可能にしたのである。問題は、ほとんどの電話線が日本の通信網を独占している日本電信電話(NTT)に帰属していることであった。そしてNTTは、ADSLは成功しないと信じ込み、電話線を手放すことを拒否した。

 それゆえ、東條はNTTに抱え込まれていない日本の数少ない電話網の1つと接触した。東京の北西部のある都市で、ADSLという装置を構築するように勧めたのである。これらの挑戦の成功は、遠距離通信を扱っている政府を動かした。政府はNTTに対して、電話線を競合他社に解放するように勧告したのである。それは、東條とそのパートナーが、安くて速いADSLサービスを提供する東京めたりっく通信を立ち上げた時であった。

 しかし、NTTは、彼らの前に障害物を置いた。行動をすぐには開始せず、電話線リースに対して巨額の料金を課したのである。最終的には、政府がNTTを催促し、料金に上限を設けさせた。その時には、東京めたりっくは鰻登りのコストによって疲れきっており、東條はこのビジネスを巨大なインターネット投資会社ソフトバンクに売却せざる負えなかった。しかしながら結局のところ、東條の目標は達成された。ソフトバンクは安価なADSLサービスの展開を続け、東條が夢見ていた競争時代が、現実のものとして到来しているのである。
[Far Eastern Economic REVIEW October 2.2003より。訳文文責:数理技研]


Far Eastern Economic REVIEW引用記事[産経新聞10月1日号]より抜粋
2003世界は日本・アジアをどう伝えているか
日本を直せる10人/一匹狼の元祖・首相は選外
 平成13年4月に小泉純一郎首相が誕生した時、外国の英語メディアで一番よく使われた首相への形容詞は、自分の所有する子牛に焼き印を押さなかったテキサスの開拓者マーベリックの名に由来する「maverick(一匹狼、異端者)」だった。

 総裁再選や内閣改造報道でこの形容詞はすっかり影を潜めたが、香港のファーイースタン・エコノミック・レビュー誌10月2日号が「マーベリックたち−日本を直せる人々」と題して各界の一匹狼10人を特集している。

 <明治維新や第二次世界大戦後のように、危機の時代には国を救うため強烈な個性が相次いで現れる。今日、日本の土台はデフレや不良債権、山積みの公的債務、赤字企業、高齢化社会などで脅かされている。だが、希望はある>と選ばれた10人を登場順に紹介すると−。

(1)竹中平蔵金融・経済財政担当(2)安倍晋三自民党幹事長(3)アーチスト村上隆(4)野茂英雄投手(5)企業家東條巌(6)張富士夫トヨタ自動車社長(7)襟川恵子コーエー会長(8)河原春郎ケンウッド社長(9)村上世彰・村上ファンド社長(10)99歳のスキーヤー三浦敬三−の各氏だ。

 一匹狼の基準は<進んで問題に取り組み、あえて危険を引き受け、ほかとは違う個人。順応主義を振り払うことを恐れない>ことだが、各人へのコメントにその個性が一段と浮き彫りにされている。

(中略)

 ソフトバンクに吸収された東京めたりっく通信など次々に起業する東條氏は<通信業界を揺さぶった変人>。

(後略)
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